MBAが会社を滅ぼす
H・ミンツバーグ『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』
師匠ミンツバーグの新刊予告を見つけ予約しておいた本がついに届いた。
まあ師匠というのは私が一方的にそう思っているだけのことだが(^^;
それにしても相変わらずここまでボロカスに言ってしまって大丈夫なの?と思ってしまう過激発言が連発されている。
本は前半が「MBAなんていらない」と題されていて、MBAがいかにダメなのかということを徹底的に批判している。
後半は「マネジャーを育てる」として、どのような教育プログラムが有益なのかについて、著者のマネジメントについての考え方を織り交ぜて書かれている。
ボロカスモードの一例を引用してみると、
しかしマネジメントは、弁護士業とはかなり違う。というより、違うべきだ。有能なマネジャーは、説明し、説得し、決断を下すだけではない。オフィスを飛び出して物事の渦中に首を突っ込み、ほかの人間を動かすことによって結果を生み出す。自分で直接、物事を見て感じ、経験し、試す。ハーバードの学生たちがしゃべり続けるとすれば、優秀なマネジャーは聞き続け、見続ける(ユーインのピラミッドのたとえを借りるなら、ピラミッドの頂上にいては、はるか下の地上でなにが起きているのかろくすっぽわからない。頂上に立てば「全体像」が見えるというけれど、頂上にいてもピラミッドの形はよくわからない。ましてや、ピラミッドの内側のことなどわかりっこない)。
論理的な結論を導き、他人を説得することは、確かにマネジメントの重要な側面だ。そうしたスキルを養う上では、ケースメソッドが間違いなく役に立つ。しかし、この点が強調されすぎると、マネジメントのプロセス全体が歪められかねない。マネジャーは、物事を感じ取り、複雑な現象を解きほぐし、情報を掘り起こし、地中深く探求しなくてはならない。謎めいたピラミッドのてっぺんになど鎮座ましましていては、マネジャーの仕事は務まらない。「大局的な絵」はそのへんに転がってなどいない。二○枚やそこらの資料の中には絶対にない。その絵は、時間をかけて、慎重に、長年にわたる直接の経験を通じて、自分で描かなくてはならない。教室で事例について議論すれば、「日々の経験が頭に染み込むまで何年も」待つ必要はないなどというのは、とんだたわごとだ。他人の経験について議論することは一つの経験のように思えるかもしれないが、それは経験でもなんでもない。マネジメントの実務は、教室では再現できない。実験室で化学反応を再現するのとはわけが違う。(p.74-75)私に言わせれば、ビジネスの世界で成功を収めているMBA取得者は、ビジネススクールで植えつけられた歪んだマネジメント観を克服したからこそ成功できたのだ。失敗するのは、学校で学んだマネジメント観をいちばん真に受けた人たちだ。企業幹部の座に自分を押し上げてくれた資質に、今度は足を引っ張られるのである。この人たちは頭がよすぎるし、せっかちすぎるし、自信満々すぎる。独善的すぎるし、現実からあまりに遊離しすぎている。白馬に乗って颯爽とやってくるヒーロー型マネジャーの多くは、ブラックホールよろしく、企業の業績をのみ込んでしまうのだ。(p.157)
大量の引用文献を使いながら、恐るべきパワーで語っていかれる。
各種ビジネス系セミナー屋さんを含む教える側の人たちと学んでいる側のMBAの人たち、ほぼ全てが痛いところを突かれたと感じるはず。
ここまでの前半は一般向けの内容であって、後半はちょうど8月から大学院で「事業計画手法」講座を担当することになっている私向けに、マネジメント教育の全く新しいアプローチが説かれている。
私のためにありがとうございます、ミンツバーグ師匠! 翻訳の池村千秋さん!日経BP社さん!
大学院自体が持つ制約は致命的にたくさんあるわけだが、本書を大いに参考にして、おかれた環境でのベストを目指して組み立てていくことにしよう。
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めちゃくちゃオモロソーや!
この類って、翻訳者の力量も凄い絡んでくるんやけど
スピード感のあるドスンとしたエエ翻訳ぽいですね。
コメント by みさお — 2006/07/24 月曜日 @ 13:55:34
> めちゃくちゃオモロソーや!
> この類って、翻訳者の力量も凄い絡んでくるんやけど
> スピード感のあるドスンとしたエエ翻訳ぽいですね。
おっしゃるとおり、めちゃくちゃオモロいでっせ。
そんでもって深く鋭いです。
たいていの講師をやっている人たちは、ミンツバーグ師匠の発言を目の当たりにすると、自分の立場がなくなってしまいそうになるので、弁解・言い訳を始め出されます(^^;
コメント by sakimoto — 2006/07/25 火曜日 @ 04:37:34