沈黙交易とネット社会と内田樹(1)
今村仁司『交易する人間(ホモ・コムニカンス)ー贈与と交換の人間学』がメチャおもしろい。
まだ途中までしか読んでいないが、このペースだと一気に読んでしまえそう。
今村氏といえばフランス現代思想、とりわけアルチュセールな人、ということはマルクスの読解に主要関心事のある社会哲学者だと勘違いしていて、今まで読んだことがなかった。
ひょっとして本の帯に「人間存在の根源を追求する今村理論の新展開!」と書いてあるとおり、ホントに新展開なのかもしれない。
タイトルを見るだけでは、アルチュセール→マルクスの再読解→経済人類学的にもマルクス主義学派に興味がある→M・ゴドリエの理論を展開なのかなあと思ってしまう。
ところが、実際にはデュルケム→マルセル・モースの全体的社会的事実から発する議論に真正面から取り組んでいる。
今村氏のいう交易とは経済学的な意味だけを指す狭義の意味ではない。
これには自然と人間との交易や神との交易も含まれる広義なものなのだ。
そもそも経済的交易だけを宗教や政治などから切り離すことなど、非市場社会ではできないことなのであり、だから全体的社会事実として捉えないといけないわけである。
と、この時点で難しいことを言っているなあ、と感じる人もいるかもしれない。
そこで話を橋本治『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』に話が飛ぶ。
橋本治ちゃんが鋭くも指摘しているのも、全体的社会的事実をズタズタにしようとしている資本主義経済下でなされている、つまりは現在エコノミストなどが行っている議論にそれはおかしいと待ったをかけているのである。
例えば「勝ち組、負け組」という言葉の背後にある思想について。
橋本治ちゃんは今村氏の行っている議論の土俵にまで入り込むと、自身の身にあてた平易な言葉での議論にならないと思ったのか、それを慎重に避けているように思えなくもない。
が、はっきり言って、今村氏も橋本氏も同じ問題に迫ろうとしていると考えられる。
一方はアカデミックに根源に迫ろうとし、もう一方は等身大の経験の範囲内で。
この先に続く話は最近「経済」「交易」「市場社会」の根源的意味は?というものを書いたので、そちらをご覧いただくことにしたい。
読まれると、私が2002年から指摘している沈黙交易とネットオークションの関係というところに話が結びつくことがわかっていただける。
と、なんだかんだで「沈黙交易」でググッてみると、内田樹の研究室: ジュンク堂と沈黙交易なるページを発見。
読んでみると、2004年4月3日投稿のページに発作的に思いついたとして、私の指摘とよく似たことが過書かれているではないか。
さらには著書にまで書かれている模様。
う〜む、ググると私のページがすぐに出てくるはずなのに「アイデアをパクらせてもらうでえ〜」とか「ヒントもろたで〜」なんていう挨拶もなかったなあ(^^;
ブログのタイムスタンプを見てもらっても、さらに遡ってそもそもメルマガで書いたコラムが最初なので、「まぐまぐ」の発行日を見れば私がどれだけ早い時期に指摘していたかの客観的証拠はあるわけだ。
まあよく似たアイデアを出す人もいるということで、内田氏のアイデアと私の指摘とがどのような関係性にあるのか読んでみようと思う。
それにしても私の場合には、このアイデア自体を強く主張するにはまだまだ弱点を抱えていて危険だと思っていて、せいぜいのところオンライン上に書いてみる程度。
内田氏はよくぞ書籍にまでしてしまうもんだなあとある意味感心する。
まだ本は読んでいないが、ブログを読んだだけでは、たいへんいい加減で中途半端な主張であるように思えてくる。
実はこの話題、ネット社会に見受けられるたいへん多くの問題と絡んできそうで、とっても興味がわいてきている。
カール・ポランニー、バタイユ、デュルケム、マリノフスキー、メアリー・ダグラス、エリアーデ、レヴィ・ストロース、E・リーチ、柳田国男らの書籍は既に読んでいて、かつ手元にあるわけなので、あとはマルセル・モースの贈与論、マーシャル・サーリンズの経済人類学、ブローデルの市場社会前の交換の姿、これらも再購入して読み直し作業をしていくことにしたい。
本業がおろそかにならない程度に(^^;
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