自己組織化モデルへの違和感

このモデルがとりわけ経済学分野で活発に展開されていることにずっと違和感を感じ続けている。

しかし経済学分野では

ということで、みなさんご活発に研究なさっている。

とくにどうというしっかりした論拠を持ちあわせていないので直観的な違和感であり、ひょっとすると食べ物の好き嫌いレベルのものなのかもしれない。

あるいは典型的な文系人間の数学への拒否反応なのかもしれない。

私が詳細も把握せずして違和感を感じてしまっていたところに河本オートポイエーシス論と出会い、私の違和感を感じていた点は、氏の説明で下記のようなことであったことが明白となった。

古典的な難題として、プリゴジンやハーケンのような無機的現象の自己組織化と、アイゲン、ロートのような有機的現象以上の自己組織化とが架橋されていないという事実がある。(河本英夫『オートポイエーシス 第三世代システム』p.65)
大体、ビーカーに音波をあてると、時に液体中に結晶化が起こってくることを創発による自己組織化とした場合、その現象が起こったり起こらなかったりする確率の話とするか、そうでなければそれが起こる関数の中に何らかの変数が必要となる。
今、ある地域で産業の集積を行おうと自己組織化モデルによって施策を打つと、まるでビーカーの中の液体がみるみる結晶化していくかのような現象が起こるのだろうか?
それは河本オートポイエーシス論を引用すると次のようなことだ。
自己組織システムに一義的な予言がきかず、それが非決定論的なシステムになるのは、作動をつうじて獲得されるような変数が存在するからである。たとえばシステムの作動に伴って、新たな階層が形成される場合には、この階層を特徴づけるパラメーターが新たに獲得されるのである。 (中略)
こうして第二世代、自己言及システムは、第一世代システムとは異なり、きわめて複雑なかたちをしていることがわかる。しかも本来的に非決定論的なシステムである。第二世代の内実をつめていくためには、社会、自然、医学を問わず多様な領域での事例研究に多大な労力を払わなければならない。だがこうした労力を根こそぎ無効にするほど、第三世代、オートポイエーシス・システムにおいて再度根本的な転換が生じる。(同p.147-148)
河本氏はきわめて上品に記述されているが、要は私が思うのに「クルーグマンのような自己組織化の経済学への応用なんて、しんどいだけでその割に大したことないのとちゃいまっか?もっとも、自己組織化モデルとオートポイエーシスとの質的違いを深く考えないままのパソコンとゲーム好きの若き学徒が、シミュレーションするという名のもとにお遊戯するには退屈しませんけど」てなことになってしまう。
ちょっと口が悪すぎるけど(^^;

私が違和感をもっていたことに、河本オートポイエーシス論はたいへん説得的に解説してくれる。有り難い。

と、ここで終わるつもりだったけど、少し補足しておくと、サイモンの『システムの科学』を読んでも、私にとっては得るところが少ないのだが、同一人物が書いたとは思えない『経営行動』は全面的賛同とはいかないながら、名著として高く評価している。

若き学徒と言っている中には、例えば鈴木健氏のような研究を含んではいない。
鈴木氏のPICSY(伝播投資貨幣)論は今後の展開がどのようになるのか要チェックの研究だと思う。

追記

市川氏、湯浅氏、養老氏の身体論を読んでいくと、なぜだかシステム論における自己組織化モデルにばかり違和感が増してくるのであった。
これに河本オートポイエーシス論+身体論も読んでいくと、、、面白そうだなあ。
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自己組織化モデルへの違和感 への2件のコメント

  1. Araki より:
    うわァ。今度は「自己組織化」ですヵ!このテーマにも興味がありました。スチュアート・カウフマンの『自己組織化と進化の論理』が好きでした。

    さて!

    自己組織化に関してですが、引用されている「自己組織システムに一義的な予言がきかず、それが非決定論的なシステムになるのは、作動をつうじて獲得されるような変数が存在するからである。(略)」というのは、自己触媒作用のことでしょうかねぇ?つまり、ある物質が化学反応を起こし、出来上がった生成物ともとの物質がさらなる化学反応を起こしていくような連鎖のこと?例えばAとBとが反応し、新たに化合物Cを合成し、今度はこのCが新たな変数として『再び』もとのAと反応していくような連鎖のこと?このように自分を触媒としてさらに反応を起こしていく創発は「非決定論的なシステムになる」んですかね?ヴァレッラやマトゥラーナとは少し考えが異なってるのかな?このあたりのこと、今ではよく思い出せません。ぜひとも今度教えてください。梅田事務所でお待ちしております。また最近、渋谷にもオフィスを開設しました。今度、ゆっくりお会いしましょう!
  2. sakimoto より:
    まいど〜!Arakiさん。
    カウフマンの本、おもしろそうですね。そのうち読んでみます。
    河本氏流にいきますと第二世代にあたるプリゴジンらのいう自己組織化と神経回路モデルから導き出されたヴァレラやマトゥラーナのオートポイエーシスとでは考え方が似て非なるものになってきます。
    おっと渋谷にもオフィスですかあ。
    いよいよ来週から事業計画手法のゼミがスタートしますので、その節はお世話になると思いますのでよろしくお願いいたします。

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