2006/06/04 日曜日

仏教哲学から学ぶ創造性開発

Filed under: 読書 — 咲本 @ 04:30:53

北大路の某Hさんと浄土寺の某S谷さんとで北白川の料理屋無法松で某イベント関連の打ち合せを兼ねて晩飯を喰う。
ってイニシャルだらけやなあ(笑)
一応3人とも半分オフモードに近い感じだったので、オフレコな話が飛び交う打ち合わせとなった。
閉店までの4時間ほどの長居をしてしまったが、土曜日ということもあってなのかそんな客が多かった模様。
随分久しぶりの無法松での食事であったが、あいかわらずのうまい料理とアットホームな雰囲気は健在だった。(2Fの個室を使わせてもらったので大将の見事な魚さばきや女将とのオモロトークは楽しめなかったが)

さて料理屋での雑談の中で「創造性開発」なることが出ていたのだが、ふと本日自宅に届けられた書籍群を眺めていると、『「ひらめき」の設計図』という本があり、読んでみるとまさに創造性開発の極意のようなことが書かれていて、思わずのめり込み始めているところ。

偶然といえば偶然だが、この本はよくありがちな創造性関係の本とは明らかに違っているのであった。

「ひらめき」の設計図 久米是志『「ひらめき」の設計図ー創造への扉は、いつ、どこから、どうやって現れるのか』



著者は本田技研工業3代目社長でありエンジニア出身で技術畑のトップマネジメントを行ってきた方で日本初の数々のモーターレース参戦を引っ張ってきた方としても有名。

本書では「創造する心の働き」とはどのようなものなのか、結果として創造したモノではなく、そのように至ったプロセスはどのようになっているのかということを解明していこうとされている。

そこで久米氏がとったアプローチとは仏教の教えから学ぼうというもの。

余談であるが本日到着したほかの書籍の中味もパラパラと見てみると、それぞれフランス哲学者、生物学者、解剖学者、建築史学者が書いた本であるのに、本の中には仏教思想が重要な考えとして大きく取り上げられているものばかりだった。
そんなことも知らずに本を注文していたにもかかわらずだ。

久米氏の本はまだ全て読めてはいない状態ながら、どうやら私にとってはとても重要な本となりそうだ。

一般に創造性開発といえば、やれ米国の大手企業に採用されているというふれこみの手法だとか、ハーマンモデルだとか、SCAMPERなどをはじめとするマハルコが紹介している一連の手法、はたまたシックスハットだ、なんてことになるのだろうが、これらは確かに一定の成果を上げるための小手先の手法としては役に立つとは思う。

ただし、あくまでも「小手先」の「手法」レベルの話。
軽いというか、「たったそれだけのこと」なのであり、たとえば「人生」や「個人と企業との関係性」といったような事柄とはなんの関係もないこと。
表層的手法だけ取り入れてみても、深層レベルでは創造性は発揮されることには繋がらないままなのだ。

とここで本書の意義がでてくる。

世界の真の相つまり真如を心に悟れば、生老病死という生きている故の苦しみから解脱することができる。そのために「どうすべきか」という問いに解答を与えていくのが大乗仏教の教義であるといえるでしょう。そしてその方法はーーあまりにも単純化し過ぎなのかも知れませんがーー悟りの境地を目指して「六波羅蜜」といわれる修行を実行することであるとしています。悟りに至る道は安易ではなく数々の苦難が待ち受けているけれども、六波羅蜜に示された六つの徳目ーー1布施、2持戒、3忍辱、4精進、5禅定、6智慧ーーを繰り返し実践に移すことで悟りの心に近づけると教えているのです。
この仏教の方法論から技術創造を目指す我々が何を学ぶことができるというのか、順を追って見ていきたいと思います。

と、それに続いて「六波羅蜜」のそれぞれと創造体験について語られていくのである。

有名なシビックCVCCエンジン開発のリーダーが技術創造の実体験に照らし合わせて説明されていく説得性も手伝ってたいへん興味深い。

そのほかにも中論や唯識論に基づいた説明なんかも本書中には登場する。

とはいえ本書で触れられているのは仏教でいえばほんの入口のところをかすった程度にすぎない。

仏教の教義といえば宗派に関係なく日本に仏教を伝えられた伝教大師の智慧をお借りしないと手のつけようのない膨大かつ難解なもの。

ただし伝教大師が開いた比叡山延暦寺にその教えをいくら求めようとしたところで、今年になって最上級のとりあつかいによって山口組組長の特別永代回向を行ったことをお詫びしているくらいだから、お金に目がくらんだ商売仏教に成り下がっている体たらくな僧侶しかいない証拠であり、このお寺から伝教大師の根本思想を学べる余地など残っていない。

延暦寺

僧侶がこの始末なのだから仏教学者と名乗る人達もあまりアテにできそうにない。

そのあたり、誰にも言わないけれど、仏教哲学についての正しい知見を深めていくための、ちょっとしたヒントをつかんだのであった。

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