2006/08/16 水曜日

夏だ!読書だ!なぜだか中公新書編(^^; その5(最終回)

Filed under: 読書 — 咲本 @ 01:35:27

中公新書で現在入手できる古典的名著をオススメするコラムの最終回。

清水博『生命を捉えなおす―生きている状態とは何か』

清水博『生命知としての場の論理―柳生新陰流に見る共創の理』

同じ著者による本であるが、前者と後者とで大きな違いがある。
前者が書かれたのは東大教授時代であり、後者は定年退官後に他大学に移られてからのものである。
前者は「自己組織化論」に至る分子生物学の国内最高峰の研究として注目され続けてきた重要書籍であり、後者は基礎的研究から導かれる結論を語るのには「東大教授」というしがらみというか制約のようなものがつきまとっていた著者が、それらから自由になった立場になったあとになってから、思想としての自己組織化論に突っ込んでいるものである。

一般的には前者の本が圧倒的に重要だと思われているだろうが、学術的な内容であるので多少敷居が高いかもしれない。

後者になると、前者から導き出された結論を思想的に応用していこうということになり、「場の創出」「共創」「創造性」といったキーワードに興味がある人であれば、普通に読んでいけるものとなっているだろうし、断然面白い。

本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』

こちらは最早説明の必要がない超ベストセラー。

先程の清水氏にしろ本川氏にしろ、たとえ比喩的であれビジネス系に応用できそうな内容であれば人気がでるということなのだろうか。

榊原清則『企業ドメインの戦略論―構想の大きな会社とは』

「企業ドメイン」をテーマにした書籍というのは、あるようでいて意外に見かけない。
戦略論の入門としてはずせないテーマでありながらも。

そういった意味でも本書は「いまさら知らないでは格好悪いし‥」という方にとっても、短時間で明解に理解できる良書だといえる。

なんとなくわかっているつもりという人にとっても、ここがわかっていないと戦略論には入っていけない入口として復習するのにもちょうどよい。

以上、お盆期間ということもあり、5回にわたってなぜだか中公新書の中から紹介してきた。
手もとに本がないものがほとんどなので、勘違いや誤解があればごめんなさい。

この数日間(というか、いつものことと言ってもよいほど)、チェリビダッケが指揮する曲を何度も何度も聴いている。
これ以上のやさしく美しいサウンドは今後とも登場しないのではないかと思わせる天才チェリの音楽については以前のエントリーでも何度かふれたことがあるが、改めてウィキペディアから引用すると、

セルジュ・チェリビダッケ - Wikipedia
音楽は【無】であって言葉で語ることはできない。ただ【体験】のみだ。」というのがもっともシンプルにまとめられた彼の音楽論であろう。しばしば行われ た「音楽現象学」の講義はさまざまな疑問を投げかけながら高慢な学生の鼻を折るどちらかというと意地悪なものであったようだが、その本質には「始まりの中 に終わりがある」という思想が貫かれている。

実際の演奏に関しては、楽曲の徹底した構造分析と、モチーフによる構成の統一。時にはそのモチーフの同一性を強調するために極端なテンポ・音程の改変が採用されている。(中略)

またハーモニーの純度・楽器間のバランスも徹底的に追求され、彼のトレーニングしたオーケストラは徹底的に室内楽的な「聞き合い」を要求されることにな る。また弦楽器の肥大した現代オーケストラにおいては、木管楽器の増強がしばしば見られるが、そのことにより、全奏時においても木管楽器の存在感は際立っ ている。

総じて晩年のテンポが非常に遅い事で知られている。再晩年のスペインで演奏されたブルックナーの交響曲第8番は105分かかっている(普通は約80 分)。その思想的根拠はどこにあったか、を考えてみると、音楽を構成する諸要素が自律的な法則に従いながら生成・発展する、という原理原則を徹底しようと したことによるのではないかと思われる。そこには、演奏者の解釈や気まぐれといった要素を極力排除し、楽器同士のモチーフの完璧な受け渡し、どんなに編成 が大きくなってもハーモニーの透明度を維持しようとした点、そのためオーケストラ全体が一つの生き物として歩むような表現が深化して行く様子がうかがえ る。
(※強調部分は咲本)

言葉にしてみると一応はこういうことになるのだろうが、「目的ではなく結果的には」このような音楽から得られる独特の美学も、実は仕事に大いに関係する。

仮に同じブルックナーの交響曲であっても、ギュンター・ヴァントでもなく朝比奈隆でもなく、チェリからしか感じられない多くのものがある。

チェリビダッケ,ブルックナー:交響曲第8番 Bruckner: Symphony no 9 - In Concert And Rehearsal / Celibidache, Munich PO チェリビダッケ,ブルックナー:交響曲第7番 Bruckner: Symphony No. 6 チェリビダッケ,ブルックナー:交響曲第4番 Bruckner: Symphony no 5 / Celibidache, Munich PO

言葉にはできないので、何度も演奏を聴いて体験する。

言葉にできることは、今回何冊もご紹介したような書籍から、主として「問いの立て方」や「思考プロセス」 を学んでいけばよい。
そういうことなので、ご紹介した本にはハウ・ツーものが1冊もなかったはず。
たとえハウ・ツー本を1000冊読んでも、思考プロセスなき答えや鋭い問いのない答えからは、得られるものはほとんどないと思っておいてちょうどよいのだ。

本文と関係のない追記

コミック「のだめカンタービレ」が月9フジテレビでドラマ化決定ばんざ〜い(^^;

のだめカンタービレ(1)のだめカンタービレ (2)のだめカンタービレ (3)のだめカンタービレ (4)のだめカンタービレ (5)のだめカンタービレ (6)のだめカンタービレ (7)のだめカンタービレ (8)のだめカンタービレ (9)

のだめカンタービレ (10) のだめカンタービレ (11) のだめカンタービレ (12) のだめカンタービレ (13) のだめカンタービレ (14) のだめカンタービレ (15)

1 Response »

トラックバック

  1. 夏だ!読書だ!なぜだか中公新書編(^^; その4…

    古い中公新書の中からのオススメ書、第4弾。
    阿部謹也『刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活』
    私の中では西欧中世史といえば阿部謹也、日本中世史といえば網野善彦。
    両者 (more…)

    トラックバック by マーケティング/eビジネス — 2006/08/17 木曜日 @ 04:16:06


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