「個」を見つめるダイアローグ
本日はこのあと、私自身はオッサンなのに「京都・学生アントレプレナー大賞オープニングイベント」を聴きにいくことになっている。
ちょうど、30分くらいで読んでしまえた村上龍と伊藤穣一の対談本にもかかわる問題なんかがパネルディスカッションのお題に取り上げられると嬉しいのだが、どうなるのだろうか見物である。
例えば、
伊藤 今までは、きちんと言われたことをやっていればお金がもらえた時代だったけれど、これからは言われたことをきちんとやっても、手にするお金がだんだんと減っていくようになる。リスクをとらないことが一番ラクだったのに、それではやっていけない時代になってきた。リスク覚悟でベンチャーをやる若い人たちもいるにはいるけど、これから高齢化がもっと進んでいけば、リスクをとってまでベンチャーをやる人も少なくなっていくんじゃないかなあ。(p.56-57)
村上 結局、無難な道が最善の策になるんだよね。いくら規制が緩和されても、リスクを負うことにはみんな腰が引ける。若い人たちの就職先の選び方を見ても、相変わらず大企業志向は強い。なぜかといえば、大企業や公務員になった人が一番有利な世の中だからね。経済システムにしても社会全体のシステムにしても、みんなツギハギでソフトランディングさせてきたから、どうしても、そういう無難な思考になる。見方を変えれば、これからの若い人は、すごく大変だと思う。無難な思考が通用しない世の中に、否が応でも直面せざるをえないんだから。(p.63)
という時代認識が明確となり、そこを理解してもらうことができるのかどうか。
私自身はここの点では、大多数の学生が2人の対談者の認識と大きくズレたままであると考える。
アントレプレナーを養成する講座開催の趣旨としては、
伊藤 自立心がないと生きていけない時代なのに、その危機感が子どもたちには伝わらない。
村上 そうなんだよ。たとえば、日本の学校には修学旅行というのがあるでしょう。相変わらず、先生が決めたコースを団体でまわる、むかしながらのスタイルなんだよね。あんな形はやめて、行き先を決めるのもホテルを予約するのも、ぜんぶ自分たちでやらせればいい。そして、帰ってきてからレポートを書かせる。小さな旅行会社がたくさん潰れるだろうけど、それだけで自立性が養われると思うんだけど。(中略)
伊藤 今の日本の状況が問題だと大人の声はけっこう聞こえてくるんだけど、それを子どもたちにも肌で感じられるように、きちんと伝えきれているか。僕にはどうも、中途半端な気がしてならない。やっぱり日本って、まだまだぬるま湯なのかなぁ。(p.60-61)
といったことをふまえて、自立心があるのかどうかという突っ込みや、この企画自体がお膳立てをしすぎる講座では意味がないという点を理解してもらえることができるのかどうか。
そもそもこの企画がお膳立てをしすぎていないかどうかも含めて。
できれば人事系コンサルのような仕事をしている人もパネリストに登場するのだから、
伊藤 じつは、アメリカの会社には総務と人事がないんだ。
村上 あ、そう。アウトソーシングしているの?
伊藤 いや、その部署ごとでやっているから。日本のように組織の真ん中にドンと居座って、会社全体を仕切っているような形じゃない。「ヒューマンリソース」というセクションがあって、人材に絡む問題への対処をしたり、何かプロセスを作る役割の人たちはいるけれど、人事権はない。考えてみると、組織の真ん中に人事権をもっている部署があるというのは、けっこう不思議。人事権はもっていたとしても、そこにいる人たちが責任をとるわけじゃないんだから。
今のような情報社会では、判断基準となる情報がたくさんゆきかっているわけだから、それぞれの立場の人が、さまざまな時点で自らの判断で動くほうがフレキシブルに対応できる。従来の秩序や価値観が壊れてきているとなれば、なおさらだよね。時には戸惑ったり、立ち止まって考えなきゃいけない場面がますます多くなってくる。(p.66-67)
このような企業内部が大きく変化していく予兆があり、自ら判断していき責任も取ることができる人同士がフレキシブルにチームを離合集散していくような形態にあって、なおかつ誰もからプロフェッショナルであると一目おかれる存在として仕事をしていくことができるのかどうか、就職したとしてもそのような意味でのスキルは企業から教えてもらえることがないということ、そういった一部でも話題にのぼれば興味深い展開になるかもしれないのだがなあ。。。
この企画の趣旨を基調講演とパネルディスカッションの内容に任せきってしまうのは、それこそリスクをともなうことになる。
そこのところのイベント全体としての打ち合わせのほうは大丈夫なんだろうか?
今ごろになって他人事ながら妙に心配になってくるのであった。
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