エドマンド・リーチ『文化とコミュニケーション』と全体的社会的事実
エドマンド・リーチ『文化とコミュニケーション―構造人類学入門』
私の議論の核心は、通常の非言語的コミュニケーションはちょうどオーケストラの指揮者が聴衆に音楽的情報を運ぶような形で成しとげられるという点であり、それは書物の著者が読者に言語的情報を運ぶやり方とは異なるという点である。この議論から導かれる主要な命題は、記号と象徴はともに不可分一体となって意味を伝えるのであり、二項的記号が直線上に連なって組合わさった一つのセットや、隠喩的象徴が範列的連合のなかで互いに呼応しあった一つのセットという形だけで意味が伝わるわけではないということだ。この点を別の言い方でいえば、われわれは対象とする文化の脈絡、つまりその舞台の背景について多くを知ったのちでないと、メッセージの解説にとりかかることはできないのである。(p.189)
加えて、諸細目から全体的社会的事実(包括的全体)へといったダイナミックな関係性への注目。
ある方法による企業へのアプローチは全体的社会的事実のひとつの局面にすぎず、そのアプローチだけに頼ると、全体的社会的事実から切り離されたものとなり、その途端に意味をなくしてしまうということ。
これらを前提とせずして、企業に最初から決まりきったフレームワークをあてがおうということは明らかに誤っている。
われわれは、ビジネススクールのアバウトなケーススタディには決して記述されないような諸細目への注目から焦点的感知をもって包括的全体へと至ったり、逆に全体的社会的事実から全体従属的に諸細目への理解に至るわけであって、隠喩的象徴や範列的連合をいくら取り上げてみたとしても、包括的全体の意味とは非なるものにとどまるのである。
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