話題の書「ブルー・オーシャン戦略」の位置づけ
昨年の発売以来『ブルー・オーシャン戦略』が話題の書となっている。
Amazonのカスタマー・レビューもたいへん多く寄せられている。
そこで私なりにこの本の位置づけを明確にしておこう。
まず、戦略論の中で位置づけると、ポジショニング学派ということになる。
すなわちマイケル・E・ポーターの戦略論に派生するものである。
ポーターの戦略論における3つの基本戦略となるコストリーダーシップ戦略・差別化戦略・集中戦略は、せいぜいのところ経済評論家が大企業についての大雑把な動向を語るのに使える程度のものであった。
企業側が使えるとすれば、市場規模で業界ベスト3以内に位置付けられる大企業が戦略を説明する際に利用しやすいといった代物であって、大多数の中小企業、ましてや創業ベンチャーの経営側にとっては使いようのない戦略論が展開されるばかりであった。(仮に使っても失敗する戦略となる可能性が高いであろう。)
要するに「競争」という言葉がやたらと登場する戦略論だけのことがあって、その「競争」において既に勝者となっている企業が考える戦略論であるといえる。
言い換えれば、変化の激しい業界あるいは市場そのものが不確かである場合や、市場実績の低い企業が考えるのに不向きな戦略論なのである。
このような場合、あえていずれかの基本戦略を当てはめようとすると、集中戦略しか選択肢がないのであるが、このあたりポーターの戦略論ではあまりにもお粗末で使い物にならない。
そこでこの集中戦略にスポットをあてて具体的なフレームワークを明示していったのが本書となる。
ただし、ポジショニング学派の路線だけでは無理があるとの判断により、コンフィギュレーション学派的な考えもうまく取り入れている。
戦略論の知識のない読者が著者の論理展開だけを読んでいけば、「競争のない世界」という言葉によって、全く新しい発想からスタートしているように見えなくもないが、実は「競争=レッド・オーシャン」がキーワードともいえるポジショニング学派がスタート地点となっている。
以上について、著書には何も書かれていないが、読めば明らかである。
この手の話題書が発売されたあとには、見慣れぬ理論にただただ盲目的にあげたてまつる評価をする人を見受けるが、戦略論上の位置づけを明確にしながら理解・評価していきたいものだ。
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