金曜は早々に仕事を切り上げて、大急ぎでサントリーホールに向かう。
そう、リッカルド・シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のブルックナー交響曲第8番のライブを聴くためだ。

期待できるようなできないような、まあでも少なくともオケは立派だし、、、といった複雑な気持ちで会場に臨んだ。
聴き終えての率直な感想としては、なかなかの好演ではなかったかと思う。
第二ヴァイオリンを舞台向かって右側に第一ヴァイオリンと同数配置し、指揮する姿を見るに、明らかに第二を重視している。
また、チェロを正面に据え、こちらも重視。
全体的に中低音を充実させるバランスを取っていることが明らかに見て取れた。
中低音といえば、チューバやワーグナーホルンも、驚くほどパワフルであった。
ティンパニーがやたらとアクセントとして強調されていたが、私の感覚からすると音が大きすぎる。
サウンドを楽しもうとする人間からは邪魔になる。
ロック音楽ではないのだから、もう少し控えめにできなかったのかな。
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスといえばドイツ最古のオケであり、いぶし銀のようなサウンドかと思いきや、今回のライブでは全然そんなことはなく、色気があるというか、シャイーがあらゆる楽器にパワフルさを求めるからなのか、華やかな印象さえ受けた。
第1楽章はピアニッシモの音量があまり小さくもないのでダイナミックレンジに欠け、フレーズごとの表情も大きく変わるわけでもなく、その分骨太ともいえるわけではあるが、特に何とも思わず流れていった。
ところが、第2楽章のスケルツオに入った途端、状況は一変。
第2ヴァイオリンを中心として普段は聴こえてこないフレーズが聴こえてきたり、オーボエによるアクセントが妙に効いていたり、シャイーらしさが見事に発揮されていた。
しかもとても理にかなった構築美を感じることができた。
傑出すべき奏者としては、ファーストホルン、ファーストトランペット、ファーストフルート。
特にファーストトランペットは、よくぞバテずにフォルテシモであれだけの音量で吹き続けることができるなあと感心。
日本人の奏者では身体的に無理な領域だ。
ひとつ気になったところとして、シャイーのブルックナーは「美しくない」。
これはけなしているのではなく、おそらくブルックナーの楽譜をそのまま演奏したらサウンドが濁ってしまうであろう部分を、そのまま濁らせて表現しているのではないかということ。
全体としては第1・3楽章がいまいち、第2・4楽章が強烈にすごい。
ゆったりテンポよりも、早めのテンポでの表現が得意ということなのだろうか。
演奏終了時には、長い沈黙の時間があり、その後大喝采となったので、たっぷり余韻に浸れる時間が得られた。
今回聴きに来られていた聴衆は、よいマナーを持たれた方ばかりでよかった。
拍手喝采は鳴り止まず、それは楽団員退場後もずっと続いたので、指揮者のシャイーが改めて挨拶に登場ということになった。
そこまではよいのだが、私が会場を出ようとして目撃したのが、サイン会の行列。
今どき、クラシック界にあっても売っていきたい指揮者は、そんなことまでするのか?
私はさっさと会場を後にしたが、こういうことって何か気に入らない。
ちなみに当日のライブは、3/18のNHK教育テレビ「芸術劇場」で紹介される予定。