一番恐ろしいのは、日常的に知らないうちに摂取してしまいかねないトランス型脂肪酸の摂取である。
トランス型脂肪酸を摂取すると、がん、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病で死亡する原因となったり、少なくとも悪玉コレステロール値を上げることになり、米国においてもニューヨーク市でもカルフォルニア州でも、議会で使用を制限する法案が可決されている。
これはマーガリンやショートニングなど人工的に作り出された油脂の摂取によって起こる。
人間のカラダは、このような人工的に創りだされたものには対応できないから、起こってしまう不具合があるのである。
「知らないうちに」とは、マーガリンはパン類に何げに使用されていたり、
ショートニングとなると、クッキーを始めとしたスナック菓子全般、揚げ物などの「サクッ」とした感じを出したい加工食品などに幅広く使われている。
(欧米の一部の国では既に使用禁止となっている。)
これらを摂取すると、がん、心臓病のリスクが高まることが証明されている。
また、悪玉コレステロール値を上げ、善玉が減ることにもなる。
さらに専門的には、「心筋梗塞と脳卒中の引き金となるリスク・ファクターのリポプロテイン・スモールAの血中値を高め」ることになる。
なので、ファーストフードやコンビニでのインスタント食品・加工品で食事を済ましている多くのビジネスマンは、日々、カラダを傷めつけ、健康を害することを行っていることになっている。
では、そのようなビジネスマンが昼食を外食で済ましていけば、トランス型脂肪酸の害から逃れられるからよいのであろうか。
残念ながら、そのように安易には解決は決してできない。
脂肪酸には不飽和脂肪酸としてオメガ3,6,9の3種類、それと飽和脂肪酸があるが、熱に比較的強いのはオメガ3以外の油である。
飽和脂肪酸はラードのような動物性のものであり、熱には強い半面、コレステロール値が上がる健康上の大きな問題がある。
オメガ9はオリーブオイルが代表選手、オメガ6がほとんどの植物性油となる。
なので、通常の炒め物や揚げ物にはオメガ6系油が使われることとなり、
人体には極端にオメガ6の油の摂取の高いことになっているビジネスマンが多い。
不飽和脂肪酸はバランスよく取る必要があり、人体にも必須脂肪酸として細胞を作っていく重要な物質なのである。
この摂取バランスが崩れてしまっているビジネスマンがたいへん多い。
ちなみに、熱に弱いオメガ3を摂取しようとすると、青魚に含まれる油となるが、焼き魚にした場合、焦げ目が明確についている状態となると、その熱によって過酸化脂質に変化してしまうので、逆にカラダにダメージを与える存在となってしまう。
かなり、細心の注意を払った調理が求められるのであり、これを外食で求めるのは不可能。
それ以外の摂取法となると、オメガ3の植物性油の代表選手、亜麻仁油を摂取していくこととなる。
ちなみに、亜麻仁油はとりわけ熱に弱く、冷蔵保存をしないとすぐに酸化してしまうほどなのである。
家庭でサラダなどに使用していくことはできても、外食で亜麻仁油が使用されることは、他の油と比べて高額であることからも、皆無といってもよいほどである。
オメガ9はオリーブ油が代表選手なので、本来であれば、炒め物も揚げ物も家庭ではオリーブ油で済まし、サラダなどの熱を通さない料理には全て亜麻仁油を摂取することで、バランスのよい脂肪酸摂取が初めて可能となる。
外食中心のビジネスマンはどう工夫しても、脂肪分の摂取というたった一点について考えてみただけでも、日々カラダを痛める食事を摂取することにしかならないのである。
オメガ3と9が決定的に不足し、その結果として、カラダが正常な細胞壁を作る環境が整わない。
私が昼食に自前の弁当を持参するようになった理由のひとつがそのような点にあり、朝を自宅で完璧なメニューで満喫し、昼は安全で栄養バランスのよいものを食して、初めて食生活のベースが成り立つと思うのである。
以上の意見となるにあたって、たいへん参考となったのは、故・丸元淑生氏の『短命の食事 長命の食事』(ワニブックス)で、今年新書版となるにあたり、生前の著作を娘の喜恵さん(彼女も料理の著作あり)が加筆修正役をされている。