自由と大義
私は個人主義者だ。
見た目はただのハゲたオッサンだけど、自分のことがとてもかわいいし、とても大切だと思っている。
自分のことをさしおいて社会貢献することなんてサラサラないだろうし、逆に社会からあれこれと強制されるのも御免蒙りたい。
何よりも「自由」を愛する。
源泉徴収されることはヒドく腹が立つ。
だけど、個人主義とエゴイストとはまったく違うものだと思っているし、そもそも個人主義こそ民主主義の根本原理ともいえるものなのだ。
その点、現在の民主主義は国家権力があまりにも大きすぎる点や、国家による免許制度や規制があまりにも多すぎる点で、私にとっては理想的な個人主義の社会であるとはいいがたい。
このような立場は何も私一人だけが言っていることではなく、実はオバタリアンならぬリバタリアンと分類される古今東西の知識人達が展開する自由主義の立場でもあるのだ。(リバタリアニズムlibertarianism)
たとえば、その中に分類されると言ってもよい「自由な社会」を追求したノーベル経済学賞受賞のF.A.ハイエクによると、
真の個人主義は民主主義を信じるだけではなく、民主主義の理想は個人主義の基礎的原理を源泉とすると主張することもできる。(中略)個人主義は、民主主義のもとにおいても、他のどのような統治形態のもとにおいてと同様に、「強制による支配の領域は固定された限界内に制限されるべきである」と信じる。そして個人主義はとくに、世に流布している民主主義のあらゆる誤解のなかでももっとも致命的で危険な誤解――われわれは多数派の意見を真実で将来の発展に対して拘束力をもつものとして受容しなければならないという信仰――に反対する。 民主主義は多数意見が共同の行為を決定するという協約を基礎としているのではあるが、そのことは、今日多数意見であるものが一般に受容される意見になるべきであるという意味では決してない。仮にそうなることが多数意見の目的の達成に必要であるとしてもである。それとは反対に、民主主義の正当性の全根拠は、時の流れのうちに、今日はほんの少数の意見にすぎないものが多数意見になることも可能だ、という事実にもとづいている。
「真の個人主義と偽の個人主義」(『市場・知識・自由―自由主義の経済思想―』p.37)
補足しはじめだすととても長くなりそうなのでごく簡潔に付け加えておくと、私はハイエクの理論を全面的に支持しているわけではないが、上記引用箇所については賛同している。
これに本来なら「平等」ということも付け加えて話さないといけないのだろうが、これもとても長くなるので省略。
少なくとも私は国家による手厚い年金給付制度のような社会民主主義的・福祉主義的な「平等」の立場には賛同しかねるとだけ付け加えておこう。
このようなことを日々ふと考えるのは、実は事業にまつわることにもかかわるのであった。
たとえば、ハイエクも上記、真の個人主義に関連して次のようなことを言っている。
なによりもまず私は、ことが或る特定の産業部門の利害に関係するときには、多数意見はつねに反動的、停滞的な意見であること、そして競争の長所はまさに少数者に勝つ機会を与える点にあることを、堅く信じている。(p.38)
このような文章に触れて、果たしてテレビ放送業界や広告代理店業界はどうなのだろうかと考えてしまうのである。
あと余談ではあるが、「みんなの意見は案外正しい」というWEB2.0の文脈で登場するテーゼがあるが、これが成立しうるのはあくまでも「或る特定の産業部門の利害に関係」しないことが大前提となる。
ただ事業をやっていくには、いくら単に自由主義=個人主義うんぬんと言い出しても、それ自体がひとつの相対的な価値観であるともいえ、社会的環境として望ましいということは言えても、邁進していく原動力とはならない。
やはりそこで最も重要となってくるのは「大義」ということになってくるのだろう。
これもひとつの価値観ということにはなろうが、少なくとも「大義」には「信じる」という要素が入ってくるから、事業の推進力が格段に増したり、多くの人を巻き込めるパワーを秘めているからだ。
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