2006/05/12 金曜日

「快」と「感動」の違いー京都コンサートホールにて

Filed under: (主にクラシック)音楽 — 咲本 @ 02:12:57

お昼まで睡眠をとって回復した私は、夜は今年に入って初めてのクラシックコンサートに出掛けた。

そもそも京都に住みながら京都コンサートホールに行くのが初めて。
京都のクラシック好きとしてありえない?

京都コンサートホール外観

平安建都1200年を記念して建てられたこのホールが完成するまでは、京都でコンサートを行うには音響がその時の気候にも大きく左右され当たりはずれの大きい京都会館しかなかったのだが、このホールができてやっと本格的にオーケストラ演奏の聴ける環境が整ったといえる。

京都コンサートホール通路

入口を入ってしばらく進むと円形の広場のようなスペースがあり、その周囲を2階までぐるりと回るように通路が延びている。
通路には過去に京響と共演した有名音楽家のパネルが等間隔で展示されている。

それにしても広場スペースに人は入れないので、2階に上るだけなのにものすごい遠回りをすることになってしまう。
おまけに私の席は1Fの前から2列目なので、やっと2階にたどり着いたと思ったあとに2階から1階へと階段を下りなければならなかったのであった(^^;

京都コンサートホール内部

さて、座席に着くと延々と無駄に歩かされたことも忘れるほど立派なホールなのに驚いた。
パイプオルガンは国内でも珍しく和楽器の音も鳴らすことの出来る超大型のものだ。
総座席数1833という、京都ではなかなか満員にはならないだろうと思える大型のホール。

本日の京響定期演奏会プログラムはモーツアルト交響曲第36番「ハフナー」とショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」で、指揮は世界的に有名なドミトリ・キタエンコ。

このプログラム自体「全く趣きの違う作曲家を組み合わせた変なプログラムやなあ」と思ったのであったが、パンフレットの解説によると京響創立50周年の今年に生誕250周年のモーツアルトと生誕100周年のショスタコーヴィチという全く違った曲を対比させ、旧レニングラード生まれで過去にショスタコーヴィチ・チクルスをCD発表したこともあるキタエンコの指揮で聴いてもらおうとのことらしい。

演奏はモーツアルトのハフナーから始まった。
まあ不快なところは全くなく心地よさはあったが、最初からこの曲には特に期待していたわけでもなく、京響の弦楽器のレベルが上がったなあとの感想くらいで終わった。

最近、茂木健一郎の監修のCDまで出ているほど生誕250周年を迎えたモーツアルト関連企画が目につく。

茂木健一郎のモーツァルト・モード茂木健一郎のモーツァルト・モード


確かに不快な音がなく曲の構成もシンプルなモーツアルトの曲を聴かせると植物がよく育ったといったことも聞いたことがあるが、マニアックなファンならまだしも、私のような凡人には有閑マダムのアフタヌーンティのBGMに最適な曲という意味での心地よさ「しか」提供してくれない。

少なくとも芸術というのであれば、魂がゆさぶられるような衝撃があるものを私は好むし、大体がモーツアルトのほとんどの曲は独奏や小規模室内楽での演奏向きのシンプルな曲であるので、それをフルオーケストラで演奏されても物足りなさを感じざるをえないのであった。

今回はそれは織り込み済みであったので、さらっと流して聴き、いよいよ本命のレニングラードの演奏。

キタエンコの指揮では不自然に熱狂的になりすぎず、かなり落ち着いたテンポ設定で、曲中のパートごとの対比をしっかりと聴かせ、全体的なバランスもうまくまとまっていた。

レニングラードは普段CDではゲルギエフのものを好んで聴いている。
そんな中、最近晩年のチェリビダッケ指揮、ショスタコーヴィチ第9番のCDを聴いた時の衝撃にも似た今回の演奏だった。

もちろんモーツアルトの時のように「不快ではない」といった感想ではなく、完成度の高い生演奏に触れて激しく魂を揺さぶられた感じ。
「感動」して頻繁に鳥肌が立った。

そう、CDでの「ヒット」には「感動」は求められておらず、「快」が求められるのであった。
逆にコンサートでは「快」ではもの足りず、「感動」が求められる。
クラシックに限らず芸術性を求めたいミュージシャンほど、「感動」のある曲はヒットが難しいので、今は「ライブ」に活動の道を求めるのではなかろうか。

それにしても京響は20年くらい前と比べると、随分レベルが上がったものだ。
レニングラードによく登場するピアニシモでの表現に若干の不安定さがあったが(これが完璧だったら世界的に一流)、以前のように難曲を取り組んだ際に演奏するのがやっとこさでミスも散見されるということは全くなくなった。
あと、金管楽器のパワー不足を感じてしまったが、これはおそらく国内のオケ全てが該当することだろうから致し方なく、音色が上品であったのと打楽器でパワー不足をうまくフォローしていたのでよしとしよう。
楽団員の年齢は以前と比べると随分若返った感じで、これからの成長も大いに期待できるオーケストラだ。
HMVジャパン

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