でも国内に意外と多くファンがいたりするのである。
なぜなら、オーケストラの定期演奏会でも年間何度も見かけるし、CDの売上でも頻繁に上位に入ってくるので。
ブル5とは、ブルックナー交響曲5番のこと。
重鎮ヨッフムの1999年の演奏が新たに発売され、注文から1ヵ月くらい待たされて、やっと手元にきた。ヨッフムは、ほんまに重鎮でブルックナー協会みたいな名称の代表もしていたくらい。
でも、今まで何枚もCDを聴いてきて、大したことないなあ、というのが率直な感想。
偉いけれど、大したことない。ちょうど、与党の現・選挙対策委員長のようなものとでもいえばよいのだろうか。
でも、この新発売された晩年の演奏は、今までの私が抱いた印象を、完全に払拭するものとなった。
完全にあの世に逝ってしまったところから、現世に戻ってタクトを振っているような印象。
なぜなのか、過去の演奏とは全く質的に変わっている。おかげで、私もあの世に逝ってしまうような(逝ってしまうというと誤解を招きかねない。昇天すると表現したほうがよいのだろう。)感覚を、初めてヨッフムから味わうことができた。
「初めて」 と言ってしまったが、そんなレベルに到達する指揮者はかなり限られる。
この境地にまで来れる指揮者は、ほんと、世界で現存している指揮者を探すのが難しいくらいなのだ。私が考えるに、現存していない指揮者を合わせても、世界中でチェリビダッケ、ヴァント、ヨッフム、朝比奈、スクロヴァチェフスキー、ジュリーニ、ティーレマン、エッシェンバッハの8名程度である。(現存中は3名だけ)
カラヤンとかバーンスタインやベームは有名であるが、ブルックナーの曲を一流の演奏ができないということでは、結果的に再現音楽の巨匠とはいえない。単に商業再現音楽の売れっ子としか言いようがない。
それにしても、以前の演奏は激しさはあったが、それは反面荒々しいがゆえに粗雑な面も見受けられた。
今回の演奏は、極めて落ち着いたテンポ設定のもと、繊細なところにまで生き届きつつ、あの世に昇天させるところにも成功しているという素晴らしいものである。マイナーな海外レコード会社から出たものであるが、ヨッフムのブルックナー全集なんて全く問題にもならないほど、今後ずっと高い評価をされ続けるものとなろう。




















