2006/08/31 木曜日

京都寺町「八百卯」の完熟プラムジュースを飲みながら思いめぐらす

Filed under: マーケティング, 食べる・呑む — 咲本 @ 23:35:12

午前中から高台寺のまほうやさんと寺町二条の清課堂さんにご訪問。

用事が終わるとお昼になっていたので、まほうやさんとすぐそばの「八百卯」のパーラーでフルーツサンドを食べた。
私がこのお店に来たのは20年ぶりくらいかな。

フルーツサンドは高級メロンをはじめとして有無をいわせぬ果物ばかりが使われていて、改めてどうこう言うまでもなくウマい。
これがたった600円なのには驚く。
飲み物は完熟プラムのジュースをいただいた。
完熟プラムは今の一時期しか楽しめないらしく、店主さんオススメの品。
渋味もほとんど感じず、さっぱり甘くてとてもおいしい。
作り方は絞って作るらしいのだが、企業秘密らしい。
こんなにおいしいプラムは初体験。
そこで長年このお店に通われているまほうやさんの顔で、プラムの実もいただくことにした。
う〜む。
なぜこれがプラムなのか信じられないおいしさ!

店主さんからイロイロお話をお伺いしていると、お店の果物は一般的な卸売市場ルートばかりから仕入れるのではなく、 果物によっては直接農家から仕入れたり、市場であっても仕入れる農園が決まっていたり、輸入物でも限られた特殊ルートであったりと多岐にわたり、気候の影響が仕入れにまともに響くので、ご苦労が絶えないとのこと。

昔は日曜も無休であったそうだが、今はシャッターを下ろされている。
それもこれも月曜日の仕入れを手配するために営業できなくなってしまったからとのこと。

例えば取り扱われているメロンは宮内庁御用達の農園のものなので、ほとんどの果物屋さんが入手できないらしく、転売しようとすればできるランクのものらしい。

また、商品がデリケートなものであるから、配送業者による商品の取り扱われ方相当敏感になっていらっしゃる。
トラックの荷台で運んでくるなんてもってのほか。
助手席に置いて丁寧に運んでくるのが基本(^^;

ちなみに八百卯のフルーツパーラーは、梶井基次郎『檸檬』の主人公がレモンを買ったのがこのお店1階の果物屋さんで、そちらの2階にある。
1階で果物を買うと高級品ばかりなのでそれなりの金額がかかってしまうが、同じ果物なのに2階のパーラーだとその日の店主さんオススメのフルーツが気軽に楽しめる。

八百卯は創業120年とのことで、おそらく創業時には華族をはじめとした一部の上流階級向けのショップであったのだろうが、この商品へのこだわりは、売上第一主義に安易に走らず、現在に至るまでそのスピリットを引き継いできていらっしゃるということなのだろう。

普段行く機会のない老舗のフルーツショップに来たものだから、今度東京に行った際(ひょっとすると来週早々?)には、まだ一度も行ったことのない「万惣」に立ち寄ってみたくなってきた。

この万惣という果物屋さんも創業160年にもなる老舗。
こちらの果物屋さんにもフルーツパーラーがあり、しかも池波正太郎がこちらのホットケーキを愛してやまなかったという小説家ゆかりのお店という共通点がある。

まあそれはどうでもよいことで、万惣の興味深い点は、東京オリンピック開催の高度経済成長時、果物のニーズが劇的に高まり、今まで取引されていた多くの高級ホテルや料亭から、果物の値段と果物の大きさを見るだけの安易な形での注文が殺到した当時、こられの取引を一切やめてしまわれ、売場面積を縮小されたお店でしか売らないと決断されたのだ。

ずっと品種改良・開発のために産地の農家にまで行かれるほどのおいしい果物を追求され続けてきたその品質を維持しようとすると、その品質を満たせるだけの果物は、縮小した売場で販売するだけのものしか入手できなかったからである。

ここで私は考えてしまう。
八百卯や万惣がされてきたことは、量の拡大ではなく質の拡大であることは理解できるのだが、私自身が経営者の立場だった場合に、売上を劇的に伸ばして飛躍できる千載一遇のビジネスチャンスのようにも見えなくもない時に、「いや、我々は量ではなく質を求めるのだ」と意志決定して、売上を伸ばすどころか、既存のおとくいさんとの取引をお断りしてまで「質」を追求していけるのだろうかということ。

数年のうちに売上を2倍・3倍と拡大していけるチャンスが目の前にあって、それでも「量」ではなく「質」的拡大のほうが優先されると果たして決断できるのだろうか?

確かに極上のおいしい果物をお客さまに提供することで、お客さまに感動を提供することができるのだろうが、このような意志決定は、口先で言うほど実際には簡単なものではなく、しかもこの点が「ブランド」を研ぎ澄ましていくのには、とても重要なポイントに思えるのだ。

てなことで、東京へ行った際に時間が確保できれば、万惣のパーラーで名物のホットケーキと共にフルーツを堪能してみたいと思っている(^^;

2006/07/09 日曜日

某企業さんサマーミーティングに出席

Filed under: 食べる・呑む, イベント — 咲本 @ 22:21:48

昨日は某企業さんのサマーミーティングに参加させていただいた。
全社員が集まって夏と冬の年2回開催されているもので、ありがたいことに今回で三度目の出席。

日中にはここ3ヶ月にわたって取り組まれてきたプロジェクトの成果発表やセミナーなどもあり、写真は夕方から場所を木屋町四条に移っての懇親会。
三共精機パーティ

新卒内定決定の学生さん達も参加、多数の豪華プレゼント抽選会といった企画も盛り込まれ、熱気がすごかった。

それほど大きな業界内変化があるわけでもないのに、ここ2年でスタッフ数も2割ほど増やされ、組織改革も激しく進行中であるためなのか、みなさん陽の空気を発していらっしゃっていて、同席していて気持ちがいい。

終了後は社内の某2名の方と先斗町のBarへ。

会社役員の方とお話する機会というのは仕事柄多いが、こういうふうに社員の方とお話するというのは、私にとってはたいへん貴重な機会でもある。
ひとつの会社を役員目線と社員目線との両方を知ることができるからだ。

なるほどと思うお話がたくさん聴けた。

あと、ノンアルコールの私にはうってつけの辛口ジンジャエールがおいしかった(笑)

キャンドル

写真はBarのテーブル席中央におかれていたキャンドル。
いかにも京都風できれいだった。
ちなみにボトル棚は障子開きとなっている。

2006/06/28 水曜日

男前豆腐の別バージョンを食す

Filed under: マーケティング, 食べる・呑む — 咲本 @ 14:17:08

昨日に続き、昼食には豆腐(^^;

男前豆腐1

しかも男前豆腐の昨日とは違うタイプ(^^;

昨日のはおぼろ豆腐2人分を商品化したものであるが、本日のものはパッと見るとインパクトはあるがオーソドックスなタイプ。
ただ、重量感はほかの豆腐とは全く違う。

上部セロハンを取ってみると、豆腐は吸水性の高いクッキングペーパー状のものに包まれていた。

そしてなんと↓のように抜けた水分が豆腐と分離されるようなパッケージ構造となっていた。

����2

おぼろ豆腐を食べてみてわかったのは、味が濃厚で大豆のうまみそのものがしっかり味わえたこと。

おそらくこちらのタイプも豆腐の水分を抜く工夫によって濃厚な味を提供しようというための工夫なのであろう。

そういえば「ざる豆腐」という、ざるに豆腐を盛られたものを飲食店で食べることがあるが、あれはざるの上で長時間かけて豆腐の水切りをすることで大豆の持つ味を楽しめるようにする工夫のひとつである。

この豆腐はざる豆腐に見られる発想を豆腐のパッケージに活かそうとしたのだと想像する。

食べてみると普通の豆腐に見られる食感とは違うことがすぐにわかる。
どちらかというとクリームのような食感とでもいえばよいのだろうか。

味はやはりしっかり濃厚なのだが、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」とは違って、もともと水分を普通の豆腐と同じように含んでいたものから水分を抜いていったがゆえに、 味は濃厚ではありながら比較的あっさりと食べることができた。

ただただ目新しさだけの豆腐でないところが伺い知れる。

2006/06/27 火曜日

京都的な企業、男前豆腐店

Filed under: マーケティング, 食べる・呑む — 咲本 @ 16:47:58

風に吹かれて豆腐屋ジョニー京都は昨日と比べて気温10度アップ。
こうクソ熱い時は・・・ということで昼メシに冷や奴を食べる。
味が濃厚かつなめらかな食感でウマい。
京都の八木町という田舎にあって全国メジャーとなった「男前豆腐店」。
一見キワモノ扱いされかねないように見えながら、京都的ともいえる骨太コンセプトかつ繊細なモノ作りへの取り組みが結実した商品だ。

とはいえ今やセブンイレブンでも買えるんだよね。

この会社、おもろい。

フルFlashで作られたWEBがダメだということを講演の中では話したばかりだが、こういう風にやるのだったらGood!でも普通の企業だったらこのノリではようやらんでしょ?
http://www.otokomae.jp/

なに?京都らしくないって?
そう思った人は大きな誤解をしている。

「古臭い」のが京都らしいというのは、単に頭が堅く柔軟性に欠けるだけなことを伝統だと勘違いしているジリ貧企業が考える幻想であって、新しもの好きというか、それらには敏感な感性を持ってビジネスに取り入れていくのが京都的な姿なんだと思う。
これは、流行っているからカッコよさそうだからIT系やってますといった根無し草な振る舞いを起こす起業家達ともちょっと違うところ。
新しさは一見古〜く思われそうな豆腐みたいな業界でもいくらでも可能なのだ。
で、京都的な起業家はそれをやっていくところがいかにも京都的。
そういえば、3年前にあえて豆腐を選んで書いたコラムのことを思い出した(^^;
http://www.crafting.jp/blog/differenciation/

今読み返してみると、まるで男前豆腐店を事例にして書いたようなものになってて我ながら面白かった。

京都を本社におくヒューマンフォーラムの出路社長が提唱する「ちょっとアホ理論」の実践も、私からすればとっても京都的(^^;

2006/05/09 火曜日

日本酒通のお店を「育てる」

Filed under: 食べる・呑む — 咲本 @ 08:11:15

仕事を終えて最近ご無沙汰しているU氏と合流。
ちょっと面白いお店があるとのことで虎ノ門から新橋まで歩き、某豆腐料理のお店に入る。

出てきた料理は湯豆腐、おから、がんもどき、それと漬物。
とてもおいしい豆腐だったが、こちらは豆腐料理店としては普通。
座席数はそう多くはなく、20人も入れば満員。
料理もお酒も良心的価格なので気軽に行けそうなお店。

この一見ありふれたお店に見えるこちらのすごいところは、現在お酒を呑まない私が注目するのもおかしな話ではあるが、この店は日本酒のこだわり方がハンパではないお店であること。

酒一覧1

酒一覧2

上の写真のように店内には店主おすすめの日本酒銘柄が掲示されている。
がしかし、これらは本当におすすめしたい酒ではないとのこと。
理由はどこのお店にも置いてあるありふれたお酒であるから。
こちらの大将は聞き慣れないがおいしいとの銘柄の評判を耳にしてはそれを見つけ出し呑んでみて、納得できるレベルの銘柄であれば直接蔵元をアポなし訪問して仕入の交渉することを続けてこられており、今や酒通の間で入手困難と言われているものを安価に仕入れられるがゆえに客にもお手頃価格で提供できる体制を築いてきた方だった。

お店のオープン当初から現在のような品揃えであったわけではなく、酒通のマニアックなうわさをお店の品揃えにずっと反映し続けてこられているがゆえに、結果として他にはない充実した品揃えとなっているのである。

だから「かくかくしかじかのテイストの酒が呑みたい」とリクエストすれば、あまり耳慣れない全国の地酒からリクエストにぴったり合ったお酒が次から次へと出てくる。

地酒好きにはこれがたまらないので、何もしなくてもドンドンと口コミで拡がっていく。
私が伺っている最中にも某官庁の集まりによる貸切予約が入ってきた模様。
もちろん「久保田」だの「八海山」だのと有名銘柄をリクエストすれば、それはそれで安価で提供されている。

その上、もともと実家が豆腐屋さんなので、おいしい豆腐が安定的に入ってくるベースもある。

こういったお店のやり方というのは「育てていく」のに時間がかかるので、「いまどきのお店」としてはやろうとする方はほとんど存在すないのだろう。

トレンドとなるキーワードをショップコンセプトに取り入れ、ちょっとオシャレかもしれない店舗デザインとメニューづくり、高いと思われない程度の価格設定を考えていく場合がほとんどなんだろう。

大手チェーンであれば、もしそのコンセプトがウケなくなってきたら、飲食店のジャンルそのものも含めていくらでも変身させていけばよいとも考えるのだろう。

一方で個人経営の飲食店であればこそ、この地酒のお店のようにその気になればお店を育てていくことで他の追随を許さないほどのオンリーワンショップになっていくことが可能であるはずなのに、大抵のお店は短期的な利益ばかりを優先して育てていくところがないのはまだマシなほうで、惰性でお店の経営を継続しているだけであるがゆえにその利益も段々と減っていく一方で、挙げ句の果てには贔屓にする少数の常連しか来ない店へと変貌してしまうことが多いのではないだろうか。

自分のお店を長期的に一貫した芯となるものをもって育てていったお店。

そんなお店が私は好きだ。

追伸
本日宿泊したのは銀座1丁目にあるホテル。
もう書く時間がないので、こちらについては後日書いてみることにする。

2006/05/07 日曜日

ホテルニューオータニで休日らしい一日

Filed under: 食べる・呑む — 咲本 @ 23:58:41

GW最終日なのでおとなしくおうちで過ごす人が多いであろう本日、昼間東京に到着し、ホテルニューオータニにチェックイン。

ニューオータニに宿泊したのは十年ぶり以上のホンマ久しぶりのこと。

本当なら到着してすぐに38℃に保たれた屋外プールで遊ぼうと思っていたが、天候がすぐれないので断念。

広いホテル内をブラブラしたあと、ちょっと早めの夕食にホテル内の蕎麦屋へ。
おまかせコースというのがあったのでそちらを注文。

蕎麦屋といっても、ひととおりの懐石料理風の料理が次から次へと料理がでてくる。

野菜が料理の随所にふんだんに使われているのだが、それらは特別に取り寄せた加賀野菜と京野菜。
焼物で出てきた鶏は比内地鶏。
蕎麦は十和田湖周辺の蕎麦粉を使用し一日に二度打ち立てのものが使われる。

先付のあと出てきた椀物は、揚げ豆腐の入ったあおさ汁。
関東風の味付けながら、確かにおいしい。

次に出てきた造りには驚いた。

造り
魚は石カレイとフッコの2種という淡泊な味のものだったこともあってなのか、醤油ではなく煮きり酒と薄口醤油とをブレンドしたマイルドなものが出てきた。
そして生の加賀野菜と周辺のお花。
これら野菜もうまい。

お次は比内地鶏と加賀野菜の焼物。
比内地鶏は噛んでも噛んでも味が出てくる。

煮物は同じく加賀野菜の炊き合わせ。
煮物の味付けは私にはちょっと濃かったが、 野菜の味自体はしっかりとしていた。

揚物は穴子を煮て味付けしたものの天ぷら。
初夏らしい一品で味もよい。

とここまできてやっとお食事として蕎麦が登場。
蕎麦の風味がしっかりあって、普段はロクでもない蕎麦しか食べていない私としては、やはりこちらが一番堪能できた。

最後にデザート。

デザート

蕎麦屋さんだからというわけではないが、あまり期待はしていなかったのだが、なんのなんの!
中央にアイスクリームとミントの葉。その周囲に讃岐うどん状の寒天とリンゴのソース。そこに抹茶がかかっていて、あんんともいえない奥深く繊細な味がした。

これだけたらふく喰って6,000円ほどで済んだ。

この店のすぐ隣りには「なだ万」があり、ここはここでたいへん美味しく食事がいただけるのだろうが、この値段でしっかりとした食事をいただけたことにたいへん満足。

堀炬燵式のスペースもあることだし、今後是非とも利用させていただきたく支配人さんと挨拶を交わして店を後にした。

ホテルニューオータニからの夜景>に続く

2006/05/03 水曜日

飛び込みで「志る幸」の懐石を食す

Filed under: 食べる・呑む — 咲本 @ 00:32:46

とある仕事が発生しており本日は急なことではあるが安ホテルに籠もることにした。
5月2日だというのにうまく部屋がとれてよかった。

京都の繁華街にあるこのホテルから晩飯を食べようと外に一歩出たら、そこは京都の中心的繁華街なので若者を中心にものすごく人が多い。
メシを食べるのにもこれだけ人が多いと、独りでゆっくり落ち着いて食べる場所確保に困る。

何気なくふと河原町と木屋町の間の路地を入ったところ、チェーン店ではなさそうな古めかしい建物の料理屋さんがあり、どんなお店なのかもわからないまま、いちげんさんの飛び込みで引き戸を開けた。
あとで気づいたのであるが、ここは有名店であるらしく、カウンター状の席が並ぶ店内の席は8割以上埋まっていた。

↓それにしてもほかにはお目にかかったことのない個性的な店内。

志る幸店内1

写真のようなまるで能舞台にも似たカウンターにとりあえず座ったのであった。
ちなみにこの後ろと左には橋の欄干を模したようなカウンター席がある。

ちょうど客の視線が能舞台のようにタタミの上を料理を持って行き来するスタッフにいくこととなり、傍目からすると一種異様とも思える雰囲気となり、座席の形態のためなのか客はしゃべり声もひそひそ話程度であって、静かな店内に「舞台」から降りてうしろ側にあるカウンター席に料理を運ぶスタッフさんの下駄の音がやけに響き渡る。

メニューを見せてもらったが、たくさんの品数があるので何がお薦め料理なのかが判断つかず、コースのように適当に見繕ってほしいとお願いしたところ、結果的に要予約でしか受け付けられていない懐石料理の扱いとなってしまった。

それにしてもまわりを見渡すと、みなさん食べているのが同じもの。
これは何かな?と気にしていたところ、客が入ってきてまた同じものを注文したので、これが有名であるらしい「利休辨當」(りきゅうべんとう)であることがわかった。

どうやらこのお店は京都観光のガイドブックでは定番的に紹介されている有名店だったのだ。
そんなことすら知らずに入ってきている客は私だけ(汗)

古高俊太郎

実はこちらは↑の店内写真に見られるように、勤王の志士、古高俊太郎がこの地に「桝屋」を構え、討幕運動の拠点ともなった跡地であった。

「志の幸」自体も昭和7年創業とのことで、いわば老舗。

どんな料理で有名かというと、一般的には「利休辨當」2,400円くらい。
これは言ってみれば観光客対策用ともいえるものなのであろう。
実際、店内にいた客はおそらく私以外全てが観光客であっただろうし、私以外全てがこの弁当を食べていた。

あとで知ったのだが、ここの本当の名物といえるものは、赤みそ、白みそ、すましの汁物。

汁物

それだけに↑のように大きく表示してある。
汁物で一番人気は京都らしく白みそとのこと。

実際に懐石最後に出てくるお食事になめこととうふの白みそ汁が出てきたのであったが、本当に絶品といえるものだった。
また、初夏らしくハモとじゅんさいのすまし汁も出てきて、こちらもハモのダシが利いていて、しかもハモがとてもやわらかく、今までたくさんハモのすまし汁をたしなんできた私もこれまでの中で最高の味といえるものだった。
ただし、単品で注文した場合には、みそ汁1杯が1,000円以上する場合もあるのでビックリしないように(^^;

そのほかにたまらなく美味だったのが、天然鯛の身と白子の造りであった。
天然の鯛の水分を吸収していって極限まで味を引き出そうと下処理をされた身は、味が濃厚かつ身がプリプリでたまらなかった。
京都の街は海がそばにないので基本的においしい造りは期待できないのであるが、これは別物だった。
大根のツマのような添え物にもさりげなく茗荷が混じっており、単なる飾り物ではない料理人の心配りがうかがえた。

あと、子持ちモロコの照り焼き風のものもおいしくてビックリした。
モロコを食べる機会なんて今までまるでなかった。
こんなにおいしいものであることを知らなかったのは私だけだったのだろうか。

それから、なぜだか鴨ロースも名物料理だとのことで出していただいた。
こちらはレモンを搾ってそこに和からしをのせ、しょうゆのようなタレをつけて食べる。
レモンが鴨の脂っこさを緩和してくれ、かんでいけば中からエキスがどんどん出てくるといったような感じで楽しめた。

それ以外に出していただいたものは最初に出てきた八寸、あと若竹煮、お食事、デザート。

とりわけお食事に出てきたちりめん山椒ならぬ「鯛ちりめん」。
よくあるちりめん山椒よりも細かく、その分しっかりと味付けがされていて当然山椒もよい風味を出しており、これまた当然ご飯が足りなくなり、おかわりした。
一度これを食べると、普通のちりめん山椒には大して興味がなくなるかもしれないほど美味。

最後のデザートの中にイチゴの一部分に砂糖を固形にしたものをうまく付着させられていて、これはこれで凝っているなあと思ったのであったが、食べようとしたところ、イチゴ上部についている葉っぱのところが実はきれいに切断した上でひっつけてあったので、スルリと簡単に取れた。
細かいところにまで配慮された料理人の一端が伺い知れた。

こうして食べ終わってみると、こちらのお店も商売上の生き残り戦略としてやむなくお弁当を売り出しているのではないかと改めて感じたのであった。

お弁当であれば、歴史ある場所でありながらお手頃価格で楽しめるので観光ガイドブックに掲載しやすく、お店側としてもバックヤードでは仕出し屋さんというか、それこそ弁当屋さんのように大量仕込みをして準備しておけばいくらでもさばいていけるのである。

「複数名で懐石と席の予約ができるのか?」とスタッフの方に質問したところ、基本的にはカウンターでの予約を行ってはいないが、奥に座敷があるのでこちらで8名くらいまでなら対応させてもらえるとのこと。

料理人の仕入れる素材のよさ、すごい腕、細かな料理への配慮、一部高級な器を使用されていたことからすると、このお店も本当は弁当以外の単品を頼んでもらうか、私のように懐石料理として頼んでほしいお店であることがよくわかった。

懐石で頼んだら余計な注文はしなくなるのでよいが、単品でイロイロと頼みだしたら食事だけで1〜2万円くらいにはなってしまうことだろう。
木でできた簡素な椅子なので、長居できそうにないところが気になったが、座敷があるのなら話は変わってくる。

ただ、弁当が売れているために、単品料理や懐石を全面に打ち出したくても打ち出しにくいように思っているお店のニュアンスもよくわかり、その方向への対策は全くなされていないのが現状。

致命的なのはクレジットカードが使えないこと。
弁当を売るだけならそれでも構わないが、今どき「カードは使えまへんのどす」と京都弁で言ってみたところで通用するわけがない。

カードのことに限らず、悪い意味で昔ながらのまま放置されたまま改善されていないところが、この料理屋さんに限らず多くのお店で見受けられる。
仕事柄そういった側面がいくつも目についてしまう。
職業病?(^^;

せっかく料理人の腕がいいのに、もったいない展開をしているお店だなあと思った。
( 辛口に言っているだけで、普通に行けばほとんどの方が気に入るお店になるかと思う。)

志る幸

志る幸外観

さて、せっかくホテルに缶詰を自ら強いているのに、肝心の仕事のほうがいまいち進んでいないなあ(汗)

2006/04/02 日曜日

京都のものづくり系やクリエイター系の集まるBar

Filed under: 食べる・呑む — 咲本 @ 22:50:30

とあるヤボ用があって、夕方になって京都市役所の隣りに延びる寺町通を歩く。
このあたりは昔と違って若い人達が歩いているのをよく見かけるようになってきたエリア。

とそこに飲食店らしい店内にアロハシャツが展示してあるお店を見かけ、なんだろうと気になっていると、店内におらっしゃったオネエちゃんと目と目が合ってしまい、なんとなくお店に入っていった。

アロハシャツを見せていただこうと思ったのであったが、どうやら飲食店のようであるので、コーヒーを注文。
でも夕方からはBarに変わるためにメニューにはなく、例によってノンアルコールビールに注文を変更。

しばらくオネエちゃんとしゃべっていて、妙にしっかりとした話をする学生さんだなあと思っていたら、某医学部の学生さんだった。
偏差値がどうなのかは知らないし興味もないが、しゃべっていてそれとなく頭の良さを感じさせてくれる人は、会話がとても愉しくなる。

このあたり、高級クラブとはまた違った意味でおもろい。

で、少したってお店にご登場になったマスターも某大学教官出身で面白そうなネットワークを持っていらっしゃいそう。

少し前には三線のライブや展示会をなさったそうで、現在は京都のアロハシャツブームのきっかけとなった方の新作が展示されている。

どうやらこのお店のご近所で商売をされている某J氏も馴染み客だそうだ。
マスターの人脈とお店の立地もあって、モノづくり系の方々、音楽系、美術系といった客層が多い模様。

てなことで、偶然ではあったがとっても面白そうな店をまたまた発見してしまった。

ATHA

お店の名前はATHA。
http://www.atha.jp/
月曜以外の夜24:00まで営業されており、日によってライブやら展示会やらイロイロ開催されている。

またタイミングを見計らってお邪魔することとしよう。

2006/04/01 土曜日

京都で唯一?クラブ風和食店で晩メシ

Filed under: 食べる・呑む — 咲本 @ 03:43:38

昨日は年度末ということもあって、バタバタとしてしまった。
そんなこんなで打合せ等々が終わると夜10時。
まだメシも喰ってない。

打合せ先をあとにして静かなビジネス街を歩いていたら、さすがに腹が減っていたこともあり、コンビニの隣りにある妙な雰囲気の飲食店に目がとまる。

BarなのかDiningありの飲み屋さんなのか、それともクラブ?

細い路地のような通路の先には何があるのだろうと恐る恐る入ってみる。

kasuiエントランス

すると店内には見事な桜による飾り付けが至る所に!
しかも随分と店内に奥行きがあり、広い。
kasui店内1

一人客なのでカウンターに座ったが、複数で来たらソファーの席がいくつもある。
まるでクラブのような雰囲気でありながら、メニューを見ると和食がずらっと並ぶ。

コース料理は予約のみであるとのことなので、コース風になるように料理をおまかせした。

先付け風に出てきたのが、いきなり好物である「のれそれ」。

その後ひととおりの料理が出てきたが、なんといってもこちらで堪能できた食材は茗荷(ミョウガ)。
茗荷を2時間ほど酢につけたものなんて格別おいしかった。
あと、旬の食材であるホタルイカはボイルしたものに酢味噌和えというところまでは普通なのであるが、そこに茗荷が散らしてあるのがこれまた相性抜群!

フランス料理ご出身との料理長が食材との相性に茗荷を多用されているというのも、茗荷がまるでハーブのように使えないかとのフランス料理的発想から出てきたのかもしれない。
割烹着姿でカウンターにいらっしゃるのも、なんだかエエ感じ(^^;

あっ、忘れていた。
最後に出てきたお食事もたいへんおいしかった。
山椒とジャコがのったご飯であったが、この山椒が香りとピリッとくるところが食欲をそそり美味だった。
通常のちりめん山椒とは違って、あえて黒っぽくなるくらいに多分醤油と酒とでしっかり味付けされていた。

ああ、またまた思い出した(^^;
この時期に出される椀物にありがちなのは、桜餅の葛打ちなんていうのが季節感を出そうとした典型的パターンであろうが、こちらで出していただいたのがサーモンをキャベツで包んだものに山椒が入っていて、最初のひとくち目に山椒の香りがフワッとくるものにアンがかかった変わり種だった。
これまたおいしい。

それにしても、このお店で出される料理が和食ベースであるって、誰が想像できるだろうかと思わせる独特の雰囲気がある。
奥にはお庭があり、なんと和食をテラスで食事することも可能だという。
kasuiスタッフさん

↑上の写真は料理長の柴田さんとお酒ご担当の方。

思わぬところで面白いお店を見つけたという、なんだか掘り出し物を見つけたような気になってお店を後にした。
年度末で若干イライラしていた気持ちが一気に吹き飛んだ感じ(^^;

ちなみに、通常閉店時間が午前1時なので、予約さえしておけば深夜に和食のコース料理をいただくことも可能。洋食風メニューも一部あり。

DINNING & LOUNGE 花穂(KASUI) http://www.kasui.jp/

2006/03/18 土曜日

京都の料亭マーケティング第3弾

Filed under: マーケティング, 食べる・呑む — 咲本 @ 23:56:43

京都の料亭第3弾の訪問は、個人・家族経営の側面よりも企業としての取り組みに注目したく、某大企業系のホテル直営のお店にお伺いした。

こちらはホテル内にあるお店であるにもかかわらず、急に訪問しても受付してもらえず、最低2日前までには予約しておかないと対応してもらえない。

お部屋の構成は

  1. 2〜3名向きの個室
  2. 茶会用の炉のある4名用の座敷
  3. 円卓で6名まで対応できる座敷
  4. 4名、6名向きの部屋の壁を取り払い、掘り炬燵の炬燵の形状も変え、テーブルを一列に並べた12名まで対応できる座敷
  5. 立食であれば20名まで対応できる洋室

この5つのパターン。

先附

↑まずは先附。まだ中味が隠れた状態。お箸と右端に少し見えている盃には「壽」の文字が入っている。
これはちょっと意地悪をしてお店訪問の直前に「本日、相方が誕生日」と連絡しておいたため。
金粉入りの祝い酒が出てきた(^^;
電話した際には「ケーキなどをご用意しておきましょうか?」との質問があった。勿論お断りしたが、このあたりはさすがにホテルである運営体制を十分に活かした対応ができる模様。
それにしても、さすがに誕生日向けの無難な対応をされてきた。
先附・前菜

↑先附の囲いを取り払うとこんな感じ。

前菜

↑こちらは前菜。お料理のテーマ的に春を思わせるものと雛祭りとなっているようで、先附に使われているよもぎや、前菜の3色のだんごといったもの、このあと出てくる随所に春らしさの感じられるもので統一してあった。

椀1

↑椀物。

椀2

↑椀物の中味。

造り

↑お造り。

煮物1

↑煮物。

煮物2

↑煮物のフタを取ったところ。タケノコがおいしい。こういう器を○○写しとかなんとかいう会席料理の典型的なパターンらしいことを若女将さんに教えてもらったが、名前を忘れた。

焼き物

↑焼き物と和え物。春らしいソースがかかっている。

蒸し物

↑蒸し物。写真を撮る前についつい食べてしまった。

ご飯・止め椀・香の物

↑ご飯・止め椀・香の物。

デザート

↑フルーツと奥にわらび餅。徹底して春らしさを演出。

和紙の装飾1

↑玄関を入って正面に迎えてくれる屏風の代わり?のようなもの。中から仄かに光る灯りが独特の雰囲気を醸し出している。座敷内にもさりげなく間接照明が使われており、このあたりの光を使った演出が凝っている。

和紙の装飾2

↑こちらはエレベーターホールにある和紙の飾り物。玄関のものと対になっており、玄関の方はお出迎え、こちらのものはお見送りの意味を持たせているらしい。
制作されたのは和紙造形では有名な堀木エリ子さん
そういわれればなるほど彼女の作風だなあという雰囲気が出ている。

個室

↑写真を撮るのを忘れていて、ちょっとパクってきた画像(^^;
こちらが2〜3名用として食事させていただいた個室。
掘り炬燵式になっており、炬燵部分は比較的浅く、そのぶん座椅子に高さを設けてある。
ホテル内であるためお庭はなく殺風景となりやすいが、壁面を板張りにしてアールを持たせ、間接照明によって明暗を持たせることで独特の雰囲気がある。
直接照明はテーブル上に集中させている。

完全予約制となっているため、その日の混み具合によってホテル従業員の体制を調整しやすく、効率がよい。
私達の応対をしてくださった方から名刺をいただいたが、着物を着たホテル従業員の方であった。

以前はカラオケルームだったそうで、数年前に現在のような直営予約制料亭に様変わりしてからのほうが、断然人気が出たとのこと。
なるほどこのようなお店のほうが立地とホテルの格からすればウケることはよく理解できる。

既存の高級料亭が集客に苦戦している中、ホテルの立地のよさもあって繁盛している。(といっても客室数自体が少ないわけではあるが)
奇をてらったところはないが、接待向けや慶事、お見合いの席など、あらゆるシーンに無難であるように感じた。
壁自体の取り外しができ、掘り炬燵も自在に変えていくことができるようになっているところは、たいへん参考になった。

こちらのお店は昨年12月に利用させてもらったことがあり、今回が二度目であったのだが、支配人が私のことを覚えていらっしゃったのには驚いた。
おそらくはいちげんさんの来客者であっても、その都度顧客管理ソフトにデータ記録し、それを随時参照されているのだろう。
このあたり、個人経営的料亭には不備がある場合があり、やはり企業の運営するお店だなと思った。

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