経済事件を起こしかねない「冒険軌道」を描く起業家像
直前のエントリーで「義」と表現してしまったのは、儒教やキリスト教的な表現だったかもしれない。
でも仏教哲学ではもっと主にもっと高次の哲学について問題にされるので、入口にも入らないかもしれない低い次元の「義」なるものについていちいち詳しく語られることがないから、仕方なくこのように表現したのであった。
強いて仏教にあてはめると「持戒」ということになるのだろうが。
だいたいが仏教の宗派がたくさんできる前のおおもとにいらっしゃる天台大師の「五重玄義」なんて、いくら難解そうな現代フランス哲学とかをもってきてしても、全くお話にならないくらい難解かつ次元の高い話。
とかなんとか書くと、私がどこかの新興宗教にかぶれだしたのかなんていう、あらぬことを想像する方がいるかもしれないが、そんな団体の類にはどこにも所属していないのでご心配なく(^^;
さてさて、ここのところ六本木ヒルズ入居企業の経済事件が発生しているが、全てではないにしろこちらに入居している企業の典型的パターンを端的に言い表せば「(建設者から帝国主義者への)冒険軌道」を描いて失敗していく企業ということになる。
これはミラーという経営学者の仮説から引用させてもらったもの。
この企業のトップの特徴は
野心的であり、積極的で、独立心が旺盛なリーダーは全て、主要な目標として拡大を掲げている。そして彼らは、執拗に拡大を追い求めるのである。とりわけ、基盤を築く段階が終わった後でそれが顕著である。CEOが多方面の知識を持つようになるのは、その時なのである。彼らは成長、多角化の為の壮大な計画を策定するようになり、細々とした事業経営上の雑事に関わりを持たないことを好むようになるのである。
ということであり、とりわけヒルズ系には顕著であり、一般的にいまどきの起業家像として抱かれているものに近い。
このようなタイプのリーダーが率いる企業が、順調に拡大路線をとっていきながら、多くの企業が本人が気づかぬうちに奈落の底に落ちていく姿を失敗パターンのうちのひとつとして浮き彫りにしている。
なぜ本人が気づきにくいかといえば、当初成功していくことがそのまま失敗の原因になってしまっているというかたちで、起業家自身が企業の成長に応じて本人にとってはごく自然に変化してしまうからである。
自分は頭脳明晰であり器用で賢く立ち回ることのできる人間だといくら自負できても、そういう驕慢なところがあればかえって命取りとなるだけのこと。
経済事件を起こしている人達は皆エリートと呼ばれる存在なのであり、当初事件になるようなことなど全くありえないと思いながら知らない間にそのようになってしまっているのだ。
こういった企業を再生するのはとても難しいのであるが、その前提条件となるのは起業家を追い出すこととなる。
では、事件を起こした人が言っているように「この社会は挑戦するということが許されない社会なんですか?私は日本を変えたいんだ!」 といった立派に見えそうな理念を持っていてもダメなのかと言われれば、「はい、ダメです」と答えざるをえない。
「冒険軌道」をすすもうとする限り、知らない間に崇高な理念も自分勝手な解釈を伴うようになってしまうのだ。
事件まで起こす人達は極端な例であるが、程度の差こそあれとりわけ若手起業家と呼ばれる人達のかなり多くがこれに該当するのではなかろうか。
このような冒険軌道に陥らないためには、「そもそも事業を急拡大しようとしないこと」「実績を自慢したい気持ちを起こさないこと」「たとえエリートの道を歩んできたとしても自分は誰よりもアホだと心の底から思えること」「人一倍金持ちになりたい、金持ちになることが成功の証だと思わないこと」 などが挙げられる。
こんな条件を挙げるとモチベーションも下がるし、そんなこと守れるわけがないという人がたくさんいるのではないかと予想する。
そんな人こそ起業には向いていないのだと私は最近考えるようになってきた。
これって、ベンチャービジネスの教科書たるティモンズの本で典型的な起業家像として浮き彫りにされたものに真っ向から対立してしまうなあ(苦笑)
まあ世の中に多く存在する起業家像が必ずしも理想的な起業家像とは合致しないということだと解釈することとしよう。










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