退院して本日からお仕事&本の話
昨日の日曜日に東京慈恵医大附属病院を無事退院。
実は3ヶ月ほど前に大腸ポリープの検査で発見されたので、先週金曜に入院して内視鏡による切除手術をした次第。
良性ポリープなので、発見されてからのんびりと間が空いての手術となった。
もう同じ病院による2回目のことなので、慣れているといえばそうなのだが、手術担当医が大学病院特有の、まだ修行中らしき医師で、前回の入院から存じ上げている関西弁の内視鏡部部長がほとんど付きっきりの状態で指導を激しくとばしながらの手術。
こちらは意識もあり目の前には腸の内部が映し出されたモニターもあるので、何がなされているのかはリアルにわかる状態。
一番の山場近くから反対側を向くように姿勢を変更されてからは、モニターが見えないので余計に不安に思うくらいだった。
切除直後に出血があったが、逆にすぐ出血したから、その場で出血部を2ヵ所クリップで止めてもらった。
「カチン!」と止める時に大きな音がなる(笑)
前回の手術では、手術後に出血が発見されたので、再度止血のためのクリップ止めの再手術を行うことになってしまったということからすると、その場で止血してしまい、その対策をされたほうがマシなのかもしれない。
手術当日は軽い麻酔が効いている状態と、深夜まで点滴をされた状態だったので、横になっているしかなかったが、翌土曜日は余裕があったので、以前購入しつつも読まずにいた『環境に拡がる心―生態学的哲学の展望』を読んだ。
河野哲也『環境に拡がる心―生態学的哲学の展望』(双書エニグマ)
本書によって、かねてから気になっていながら手つかずでいた記号学者のケネス・バークとミハイル・バフチンを学ばなければと思わされた。
もちろんそれだけでもなく、本書の主張したい、今やビジネス分野においても避けては通れないであろうアフォーダンス理論で有名なギブソンの主張をひとつの哲学として展開しているところに興味を持って読み、いくつも参考になるところがあった。
日本でアフォーダンス理論を流行らせた佐々木正人氏は、あくまでも心理学的な立場からの主張であるが、河野氏は心理学分野に精通しつつも、かなり哲学寄りなのが特徴。
本書の彼の基本的立場は下記のとおりである。
身体・環境・心(=脳)は、エージェントの行動に変化を起こしうる因子として等価に扱うことができ、その意味で、心は環境に拡散していることが主張することが可能である。そして、この主張は、出来事を存在論の基本にすえたときにはじめて理解される。
従来の個体主義的な心の科学と、ギブソン心理学を敷衍した生態学的立場の相違は、最終的に存在論の違いに帰着するであろう。(中略)
ギブソンの生態学的心理学は、出来事(事象、event)の存在論(オントロジー)を採用している。(中略)
出来事の存在論は、存在の基本単位を、変化としての出来事、あるいはその連続的な推移としての過程processにもとめる。(中略)
出来事の存在論においては、従来の実体論とは逆に、出来事こそが具体的・現実的であり、物質の方が抽象的・可能的な存在と見なされる。また、出来事の存在論は、変化と時間性のなかに不変性を見出す点にも特徴がある。変化と不変性はたがいに切り離すことができない存在の二つの相補的な局面である。変化から切り離された、それだけで自律的に存在するような秩序や普遍性は存在しない。秩序は、変化のなかの不変項として世界のいたるところに具現されている。
出来事や過程を存在の基礎におくということは、動物の記述に関していえば、行動の場面を最も基本的な単位とするということである。(p.51-53)
一部、冗長に思える部分もあるが、骨のある議論展開をしていることは間違いない。
ビジネスにおける暗記物やストレートなノウハウに落とし込んだことだけを求めるだけの方には関係のないことにしか見えないでしょうが、こういった根源的なことこそ、ものすごく重要なんだと、なぜ思えないんでしょうかねえ。
そこに気づかなければ、いつまでたっても量産ビジネス本作家のお金儲けに貢献することにしかならないのですがねえ。
退院後は、かなり久しぶりに実弟とその家族とで、八重洲の大丸百貨店内の中華料理屋で会食。
娘さんがもう小学6年生になっていた姿を目の当たりにして驚いた。
あっ、ちなみに下記が入院時の10F病棟からの眺め。













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